３月１４日（月）

朝食のルームサービスが８時ちょうどに運ばれてきた。オレンジジュース・クロワッサン３個・ミルクティー、ちょっとさみしい朝食である。でもクロワッサンはなかなかおいしかった。
今日はいよいよ帰国の日である。代休は今日だけなので、明日には出社しなければならない。
実は昨日、東京行きの航空券を買おうと散歩しながら街中の旅行会社や航空会社を探していたのだが、日曜日でどこも営業していなかった。
私は朝食を食べながらホテルで入手したソウル発の航空時刻表を見ていた。
ソウルから東京はやはり隣国だけあって結構な本数が就航している。日本の航空会社３社のほか韓国の航空会社２社、そのほかアメリカの航空会社も飛んでいる。
私はその中で小松（金沢）経由成田行の日本航空に目が止まった。真っ直ぐ帰るより寄り道しながら帰りたかった。早々と朝食を終えると、ホテルに程近い日本航空に向かった。

【日本へ帰れない?】

午前９時、開店直後の日本航空へ行く。カウンターのお姉さんに日本語で「今日の東京行きに乗りたいのですが」と尋ねた。
お姉さんはコンピュータの端末をたたいて空席を調べてくれている。でもその後の言葉が私には信じられなかった。

すみません満席です。

「えっ！」金沢経由で帰ろうとかそんなレベルの話ではない。日本航空を出てきた私はあきらかに焦っていた。「やばい」これはもしかしたら本当にやばいかもしれない。
急いでとなりの日本エアシステムに向かった。カウンターでの尋ね方も先ほどとは違ってきた。「今日の東京行きは満席ですか？」対応してくれたお姉さんに端末もたたかれず「はい満席です」と答えられてしまった。
「いつなら空いてますか？」の問いに始めて端末をたたいてくれたが、でてきた言葉は「明日、満席」「あさって、満席」「３日後の木曜日なら空いています」
すぐ近くにあった全日空にも行ったが答えは同じだった。日本に帰れない。

やはり無謀な旅行であった。最後の最後に大きな落とし穴にはまってしまった。
もはや私の頭の中では、来た時の逆ルートで日本に帰ることを考え始めたが、いまからセマウルに乗ってプサンに向かっても博多行きのジェットホイル「ビートル２」には間に合わない。また夜行の関釜フェリーに乗ることになる。つまり会社にはまったく間に合わない。

残された道は一つ、日本ならどこでもいい！ とにかく今日中に帰国しよう！

ところがなんと最初に調べた「名古屋」に空席がみつかった。お兄さんもおどろいている「今日は３月１４日ですよね・・２席だけあいていますよ！ さっき見たときはなかったんですよ！」
ソウル１９時０５分発、名古屋２０時３０分着。ソウルから日本への最終便である。名古屋市内には２２時頃に入れるだろう。今日中に東京に到着は出来ないと思うが、日本には帰れる。
お兄さんにお礼を言いカードで清算した。日本円で約１８０００円（米ドル建て）お兄さん曰く、これは割引航空券とのこと。

ホテルから会社に電話し、もうしわけないと事情を話し、明日の午前中は休みとしてもらった。でも、いま韓国にいることはなかなか理解してもらえなかった。

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